ドクターコラム 5

頚椎手術は安全な手術です~後方や前方から行なう首の手術について~

手指や腕、肩甲骨から首の痛み、握力低下、ボタンや箸などの細かい動作(巧緻運動)の障害、歩行障害などは頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、頚椎後縦靭帯骨化症など頚椎の病気が原因となります。

そのほとんどは薬剤治療、リハビリテーション、ブロック治療などの保存治療で改善しますが、保存治療に抵抗性な場合は手術を検討します。

当センターでは頚椎の手術は頚椎の前方と後方(首の前と後ろ)のどちらからでも行なうことが可能です。
病院によっては、得意な方法、慣れた手術法として前方と後方の片方どちらかを優先的に選択することが多い傾向にあります。
しかし、当センターの手術方針は、より適格に効果的に脊髄や神経根の圧迫が解除できる方法を選択しており、前方もしくは後方の手術を患者様ひとりひとりにあったオーダーメイドで選択し、ご提案します。

前方からの頚椎手術は、首の前側(のどの部分)を横に切開し、椎間板ヘルニアや骨棘を切除し、自家骨を充填させたインプラントを椎間板腔に移植し固定する手術です。
前方の食道や気管、頸動脈などをよけて行なう難易度の高い手術ですが、筋肉への負担が少なく、前方にある圧迫病変を直接取り除くことが可能なため、術後の神経痛の改善が劇的な手術です。手術翌日から歩行が可能で、5日~1週間で退院可能です。
皮膚の切開が横向き(水平)で、首のシワにあわせて切開します。
ですからキズの痕も目立ちません。

私が以前、X JAPANのYOSHIKI様が頚椎前方手術をなさった時に、各種メディアに解説をさせて頂いた手術が頚椎前方手術です。
後方からの頚椎手術は、首の後ろ側を縦に切開し、骨を削り、脊柱管を拡大する手術です。頚椎の後方には筋肉しか存在しないため、極めて安全に手術をおこなうことが可能です。
脊髄の通り道(脊柱管)が広範囲に狭い患者様で、後方から全体的に脊髄の圧迫を解除することが目的です。
手術翌々日から歩行が可能で、1週間ほどで退院可能です。
前方手術のように、椎間板ヘルニアや圧迫している骨を直接切除することは出来ませんが、脊髄全体の除圧を行うことが可能です。

私が以前、北島三郎様や西田敏行様が頚椎後方手術をなさった時に、各種メディアに解説をさせた頂いた手術が頚椎後方手術です。
手術をお受けになられたお三方のご活躍をご覧になってもわかりますように、脊髄や神経根の圧迫を取り除くことで、頑固な神経痛や手指の麻痺、歩行障害が改善し、元気で活力あふれる生活を取り戻す事が可能です。

当センターでは、レントゲン、MRIや脊髄造影検査を行ない、早期に適格に病態を把握します。
十分な薬物治療、ブロック治療、リハビリテーションを施行し、ほとんどの患者様が保存治療で改善されます。
改善されない場合は、手術を提案しますが、前述した頚椎手術は、すべて低侵襲手術と呼ばれる体の負担が少ない手術です。
前方から行なうか、後方から行なうかの選択はどうか私達にお任せ下さい。
もちろん、その適応の理由や長所短所は説明いたしますし、疑問点がありましたらご遠慮なくご質問下さい。
長年培った経験と方法で、私達は安全安心に頚椎手術を施行しています。
手指や腕のしびれや痛み、手先の不自由さや歩行障害でお困りのかたはご相談いただけますと幸いです。
頚椎手術は高い専門性が必要ですが、決して危険な治療法ではありません。
是非私達にお任せ下さい。
(文責 センター長 田村)

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