テレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」治る!最前線~骨粗しょう症の再診治療~

2014年11月21日放送

本邦における骨粗鬆症の患者数は約1300万人と報告されています。骨粗鬆症では骨が弱いため、骨折を発症してしまうと寝たきりになる可能性があるので注意が必要です。
背骨(脊椎)では、無理な姿勢や軽微な外傷で骨がつぶれ圧迫骨折が発生します。圧迫骨折が生じると強い腰や背中の痛みが起こり長期間の安静を余儀なくされます。背骨の骨折が骨癒合せず(「偽関節」といいます))、大きく曲がってしまうことも多くあります。
従来は長期間の臥床やコルセット治療をおこなったり、脊椎固定術といった体の負担の大きなインプラント手術をすることもありましたが、最近では特殊な手術器具と医療用セメントを用いて体の負担なく圧迫骨折を治す事が可能となりました。皮膚から針を挿入し、風船(Balloon)を骨折した骨の中で膨らせた後、セメントを充填して曲がった背骨を矯正する(後弯形成Kypho Plasty)手術は専門用語で椎体形成術(BKP、バルーン手術)は2011年に保険適応となりました。治療費は3割負担で約16万円です。

骨折した背骨の中で風船を膨らませスペースを確保し、非常に粘度の高いセメントを”置いてくる”ように注入するこの手術は、血管へのセメント漏出などの合併症が極めて少なく、手術直後から劇的に痛みが改善するのが特長です。骨折を一瞬にして固めて治すわけですから納得のいく結果ではありますが、手術直後より術前の痛みがぴたっと治るわけですからその効果は絶大です。

BKP手術はすべての圧迫骨折に対して施行できるわけではありません。急性期の圧迫骨折や背骨が大きくつぶれて扁平化してしまっている場合、神経を圧迫している場合は施行できません。また、手術直後より痛みは改善しますが骨粗鬆症の背骨は治ったわけではなく、他の椎体に続発する圧迫骨折をいかに防ぐかが今後の課題となっています。最近ではテリパラチド(PTH製剤)という新しい骨粗鬆症の治療薬が続発性骨折を高率に防止できると報告され、多くの患者様に適応されるようになりました。テリボンやフォルテオといった薬品名です。

BKPの手術は認定資格が必要で、認定病院での手術実習を受講し、試験に合格した医師のみが施行できます。平和病院では本手術が施行可能ですので、圧迫骨折による腰や背中の痛みにお悩みの患者様はご相談ください。