腰椎椎間板ヘルニアは保存療法(投薬、注射、物理療法、理学療法)でほとんどの場合が改善、治癒します。
しかし罹病期間が長い場合、下肢痛がとても強い場合、足に力が入らなくなった場合などは手術適応があります。
横浜脊椎脊髄病センターでは最先端のハイビジョン脊椎内視鏡システムを導入しており、より安全な確実な内視鏡ヘルニア摘出術(MED)が可能です。
このシステムは、体に入る超小型カメラと医師が目視する大型スクリーンモニターの両方が高画質ハイビジョンシステム搭載であり、体内の様子、神経やヘルニアの状態が高画質で描出されます。
オールハイビジョンシステムの脊椎内視鏡は本邦でもごく限られた病院にしか設置していません。
なおMEDとはMicro Endoscopic Discectomy、内視鏡下椎間板摘出術の略語であり、この手術は保険適応です。
【図1】黄色靭帯浅層を剥離し深層に至る。
さて、手術の詳細です。全身麻酔下で皮膚に2cm程度の小切開を加え内視鏡を挿入します。【図1】のように神経の通り道である脊柱管は黄色靭帯という固い靭帯に覆われており、これを切除し脊柱管に達します。
腰部脊柱管狭窄症ではこの靭帯が狭窄の原因となっているため、切除することで神経の圧迫を取り除くことができます。
黄色靭帯は2層(浅層、深層)に別れており1層ずつ丁寧に切除します【図1】。
【図2】神経根をよけヘルニアを切開。
ハイビジョンシステムが明瞭に内部の状態を映し出すため、手術操作はより確実です。
黄色靭帯を切除し、硬膜、神経根を慎重によけるとポッコリと椎間板ヘルニアが顔を出します。
神経根はこの椎間板ヘルニアにより大きく突き上げられており、とても強い神経痛が引き起こされた現場を目の当たりにします。
このヘルニアを【図2】のように超小型の椎間板切開用メスにて切開を加えます。
【図3】椎間板ヘルニアを摘出する。
切開を加えた後、ヘルニア内部に超小型の摘出鉗子を入れ【図3】のようにズルズルと椎間板ヘルニアを取り出してしていきます。
最後に摘出した椎間板の周囲に脱出、遊離したヘルニアがないか、取り残しはないか、椎間板内に再脱出しそうなヘルニアがないか念入りに観察します。
よく洗浄した後、ドレーン(術後の出血を体外に出す細い管)を留置し手術を終了します。
手術時間は難易度にもよりますが30分~60分で、出血はほとんどありません。
術後は翌日より歩行でき、翌々日には退院可能となります。
早期退院できますがリハビリなどを希望される場合は自信がつくまでトレーニングすることも可能です。
内視鏡でのヘルニア切除術は皮膚の切開が小さく、筋肉の剥離もほとんどないため体にかかる負担がとても小さい低侵襲手術です。
スポーツ選手や若い方で傷を小さく、回復を早くしたいかたにはとても有効な方法です。
横浜脊椎脊髄病センターでは内視鏡下ヘルニア摘出手術(MED)の他に、顕微鏡下ヘルニア摘出術(MD)や直視下ヘルニア手術(Love法)を行なっております。
高度脊柱管狭窄を合併する症例や脊柱管嚢腫を合併する症例は顕微鏡手術(MD)、再手術例や直視下操作が必要な症例はスタンダードなLove法を適応しております。
どの術式も、手術後の改善度に大きな違いはなく、強い下肢痛やしびれは改善していきますのでご安心下さい。
【手術ノーカット版(2)】脊椎内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア切除術(MED)/You Tube(田村医師)
【手術ノーカット版(3)】脊椎内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア切除術(MED)/You Tube(田村医師)
【解説付き版】脊椎内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア切除術(MED)/You Tube(田村医師)