ドクターコラム ペイン治療・ブロック治療で脊椎疾患は治る!(ブロック注射は気休め?根本治療にならない?)

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症に対する治療として、当センターでは硬膜外ブロックや神経根ブロックなどのブロック治療を施行しています。 患者様からは、ブロック治療は気休めで根本治療にならないのではないでしょうか?病気を治す治療でしょうか?とのご相談を多くいただきます。 もちろんブロック治療ではこれらの疾患そのもの(神経の圧迫そのもの)を治療することはできません。ですが、これらのブロック治療で症状が消失あるいは改善することが多くあります。 それは何故でしょうか? 上記の脊椎疾患は、神経の圧迫・狭窄が発端となって症状が発生します。しかし圧迫だけでなく、それに …

ドクターコラム レーザー治療やセルゲル法などの自費診療・自由診療(保険外手術)に対する当センターの治療指針

当センターでの脊椎脊髄疾患の治療や手術はすべて保険で認められている治療です。 一方、国が保険で認めていない自費診療・自由診療というものが存在します。 よくご存知なのが、美容整形外科手術がそれにあたります。 脊椎診療では、レーザー治療(PLDD・経皮的レーザー椎間板減圧術)やセルゲル法(椎間板内インプラント挿入)が自費診療にあたります。 国が認めていないということは、安全性、治療効果、長期成績などがはっきりしていない、疾患の治療法としては認めていないという意味でもあります。1カ所の治療でも自費で数10万円、数カ所なら100万円と高額な医療費がかかり、患者様の身体的負担だけでなく、金銭的な負担がか …

ドクターコラム ご自身の脊椎手術は本当に必要でしょうか?(脊椎手術の適応について)

診察室に30年近くおりますと、他の病院で手術をすすめられている患者様から、本当に手術が必要かどうかのご相談をいただく機会が多くあります。 「いますすめられているご自身の脊椎手術,本当に必要でしょうか?」 と思う事があり、ドクターコラムに記します。 手術というものは、手術適応の有無を除外しはいけませんが,診療的には病院側と患者側の承諾・同意があれば、どんな状況でも手術は施行できます。法律的な制限もありません。 しかし、手術の適応が患者様の将来を左右すると言っても過言ではありませんので、その判断は慎重になる必要があります。 当センターでは、迅速的格な診断のもと、十分な保存治療(生活改善、お薬、ブロ …

ドクターコラム 腰部脊柱管狭窄症は歩き過ぎに注意!

腰部脊柱管狭窄症は、腰から足にかけて痛みやしびれが生じ、歩行が困難になる病気です。背骨の加齢性変化が原因で、背骨の中の神経が通る「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫されるために発生します。腰部脊柱管狭窄症はでは、間歇跛行(かんけつはこう)という症状が特徴的です。間歇跛行とは、長く歩行すると足の痛みやしびれが発生し、少し休息するとまた歩けるようになる症状です。 外来では、お薬治療、ブロック治療、リハビリテーションなどを行なっています。症状が改善されない場合は、内視鏡手術を施行する場合もあります。 日常生活では、長時間歩いたり、背すじを伸ばしたりする無理な動作を極力避ける工夫が必要です。このような運動 …

ドクターコラム 頸椎内視鏡手術について

当センターでは以前より頚椎疾患の手術として、頚椎前方除圧術(椎間孔開放術)、頚椎前方除圧固定術、頚椎人工椎間板置換術、頚椎椎弓形成術、頚椎後方徐圧固定術など多くの手術を、病態に応じて適応し良好な臨床結果を提供してまいりました。頚椎内視鏡手術につきましては、従来の内視鏡器具が頚椎手術に対して未承認であったり、長期成績が報告されていない観点から導入を見合わせておりました。 この度、頚椎手術で承認された内視鏡を導入し、長期成績も良好であることを受け、当センターにおきまして頚椎内視鏡手術を導入し、患者様に提供させていただくことを決定しました。 対象疾患は、頑固な片側の上肢痛や運動障害を認める頚椎椎間板 …

ドクターコラム 骨粗鬆症による背骨の骨折(いつのまにか骨折)について

近年は高齢化社会の到来や、高齢者活動度の増加により脊椎疾患が激増しています。 その中でも特に増加しているのが脊椎椎体骨折(腰椎圧迫骨折)で、頑固な腰痛や下肢痛の原因となります。 骨粗鬆症による脊椎骨折は、転倒歴がなくても発生するため「いつのまにか骨折」とも言われ、重篤化すれば寝たきりや介護が必要になる危険があります。 また連鎖的に次々と脊椎に骨折が発生してしまう場合もみられます。 治療ですが、根本に存在する骨粗鬆症の薬物治療は必須です。 内服治療や注射治療など、ひとりひとりにあった骨粗鬆症治療を選択する必要があります。 適度な安静や装具治療も必要となりますので専門医の判断が必要です。 骨折が治 …

ドクターコラム 頚椎手術は安全な手術です~後方や前方から行なう首の手術について~

手指や腕、肩甲骨から首の痛み、握力低下、ボタンや箸などの細かい動作(巧緻運動)の障害、歩行障害などは頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、頚椎後縦靭帯骨化症など頚椎の病気が原因となります。 そのほとんどは薬剤治療、リハビリテーション、ブロック治療などの保存治療で改善しますが、保存治療に抵抗性な場合は手術を検討します。 当センターでは頚椎の手術は頚椎の前方と後方(首の前と後ろ)のどちらからでも行なうことが可能です。 病院によっては、得意な方法、慣れた手術法として前方と後方の片方どちらかを優先的に選択することが多い傾向にあります。 しかし、当センターの手術方針は、より適格に効果的に …

ドクターコラム 96歳の超高齢脊椎手術~高齢者手術と長生きの秘訣~

「何歳まで脊椎手術を受ける事ができるのでしょうか?」 と患者様に、よくご質問をいただきます。 「お元気であれば何歳でも手術を受ける事が可能です。」もちろん、心臓疾患や呼吸器疾患など重い病気をお持ちの患者様はたとえ50歳でも全身麻酔の脊椎手術を受ける事が出来ない場合もあります。しかし、お元気な場合、100歳でも脊椎手術は可能と考えています。 先日、開業医の先生より96歳の患者様をご紹介いただきました。他の病院では「高齢なので手術は絶対にできない。」と何度も言われたようです。 患者様は苦痛のため歩行もままならない状態でした。年齢を基準に手術が不可能と判断することはあってはなりません。 当院入院後、 …

ドクターコラム 脊椎内視鏡手術・技術認定医は狭き門

日本整形外科学会(以下日整会)認定脊椎内視鏡下手術・技術認定制度をご存知ですか? 「日整会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医」は整形外科専門医試験に合格して「整形外科専門医」の資格を取得した上で、さらに「日整会認定脊椎脊髄病医」としての資格を取得した後、「脊椎内視鏡下手術・技術認定医脊椎脊髄病医」の申請資格を得られます。 未編集の内視鏡手術ビデオの提出、内視鏡手術に関連した学会発表実績、従来の脊椎手術症例報告、内視鏡脊椎手術症例報告、技術を保証し得る医師の推薦状、モデル骨での内視鏡手術研修、生きた豚での内視鏡手術研修など多くの条件を満たし、厳正な審査の上認定される資格です。現在、技術認定医は全国 …

ドクターコラム 脊椎専門病院と地元かかりつけ医の関係

「平和病院で背骨を診てもらいたいけれどどうしたらいいのでしょうか?」 こんな質問をよく頂きます。 平和病院脊椎外科・横浜脊椎脊髄病センターは鶴見区を中心とする横浜市、川崎市の医院やクリニックと密に連携をとっています。 首や腰の痛みやしびれ、神経痛でお困りの場合はまず地元のかかりつけ医の診察をお受け下さい。 なぜなら脊椎疾患は保存治療(投薬、注射、物理療法など)で改善することがほとんどだからです。 遠く当院まで足をお運びにならなくとも脊椎の病気は治ることが多いのです。 保存治療で改善が望ましくない場合は、かかりつけの先生が専門病院の受診を提案されると思います。 このタイミングが平和病院を受診する …

ドクターコラム 脊椎脊髄の手術をすれば症状が全て改善するでしょうか?

手術の説明の際「先生!手術をすれば完全に治りますね?」と患者様からよく質問されます。 私は、たいていの場合「今よりずっとよくなると思いますよ。でも完全ではないのですよ...。」と答えます。 心の中では完全に治って頂きたいと思いつつ、脊椎・脊髄の手術の特殊性について患者様へ次のように説明を加え、理解して頂くようにしています。 脊椎(骨)・脊髄(神経)の手術は、患者様の症状と診察や画像所見より、神経を圧迫している椎間板(ヘルニア)、骨、靭帯や腫瘍などを除去し、場合によっては脊椎の安定化(固定)を行ない、神経がストレスなく機能できる環境を獲得するものです。 つまり、手術は神経そのものを治療するもので …