ドクターコラム 腰部脊柱管狭窄症は歩き過ぎに注意!
腰部脊柱管狭窄症は、腰から足にかけて痛みやしびれが生じ、歩行が困難になる病気です。背骨の加齢性変化が原因で、背骨の中の神経が通る「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫されるために発生します。腰部脊柱管狭窄症はでは、間歇跛行(かんけつはこう)という症状が特徴的です。間歇跛行とは、長く歩行すると足の痛みやしびれが発生し、少し休息するとまた歩けるようになる症状です。
外来では、お薬治療、ブロック治療、リハビリテーションなどを行なっています。症状が改善されない場合は、内視鏡手術を施行する場合もあります。
日常生活では、長時間歩いたり、背すじを伸ばしたりする無理な動作を極力避ける工夫が必要です。このような運動制限は、神経の物理的圧迫や血流不良、炎症を改善させる効果があります。
しかし患者様の中に、頑張って歩いて克服しようとされるかたが多くいらっしゃいます。中には1日1万歩以上歩いて、症状をどんどん悪化させてしまう場合も多くあります。「将来歩けなくなってしまわないように」と、頑張って歩くお気持ちは理解できますが、腰部脊柱管狭窄症の治療中は、過度な歩行をしないように十分注意をして下さい。
歩く回数や歩く時間・距離を減らしただけで、足の痛みやしびれが大幅に改善されることがあります。国民500万人以上が罹患している腰部脊柱管狭窄症。元気なご高齢者に多いこの病気は決して難治性の病気ではありません。強い痛みやしびれから解放されるまで、一緒に治療を続けてまいりましょう。