ドクターコラム ペイン治療・ブロック治療で脊椎疾患は治る!(ブロック注射は気休め?根本治療にならない?)

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症に対する治療として、当センターでは硬膜外ブロックや神経根ブロックなどのブロック治療を施行しています。

患者様からは、ブロック治療は気休めで根本治療にならないのではないでしょうか?病気を治す治療でしょうか?とのご相談を多くいただきます。

もちろんブロック治療ではこれらの疾患そのもの(神経の圧迫そのもの)を治療することはできません。ですが、これらのブロック治療で症状が消失あるいは改善することが多くあります。

それは何故でしょうか?

上記の脊椎疾患は、神経の圧迫・狭窄が発端となって症状が発生します。しかし圧迫だけでなく、それに続発した神経の炎症、浮腫、血流障害が発生し強い痛みが発生します。ブロック注射に含まれる局所麻酔剤、鎮痛剤、抗炎症剤(ステロイド剤)は疼痛や炎症、浮腫や血流障害を改善させる効果があるため、ブロック治療は効果を発生します。

例えば、神経の圧迫がそれほど強く無い場合でも、日常生活で無理をしたり、仕事や運動など無理がかかったりすると、わずかな圧迫を引き金に、神経の炎症、浮腫、血流障害が発生し、強い症状をもたらします。ブロック治療ではこれらの続発した症状を改善させることができるため、圧迫が残っていても症状が治癒します。疾患の圧迫そのものを手術で取り除かなくても、疼痛が改善すれば、疾患は治癒できたということになります。

ブロックの効果は、患者様によって異なり、数時間の場合、数日や数週間の場合、数ヶ月あるいは、数年効果がある場合があります。一度症状が改善すれば、長期間あるいは生涯にわたり、痛みが発生しないことも多々あります。ブロック治療の効果があまりなければ、当院では、最終手段として手術を推薦しておりますが、ブロック治療を積極的に導入し、体の負担が少ない脊椎治療に努めております。

当院と連携しているクリニックに、「ペインクリニック」があり、さまざまなブロック治療や疼痛緩和治療を施行しています。まさに痛みのエキスパートの麻酔科や整形外科の先生が、毎日熱心に患者様の痛みに立ち向かっています。手術を選択する前だけでなく、手術後とりきれなかった症状に対しても有効です。注射な苦手な患者様もいらっしゃると思いますが、ペイン治療としてのブロック治療の有用性を是非ご理解いただけますと幸いです。 (文責 田村)