ドクターコラム ご自身の脊椎手術は本当に必要でしょうか?(脊椎手術の適応について)

診察室に30年近くおりますと、他の病院で手術をすすめられている患者様から、本当に手術が必要かどうかのご相談をいただく機会が多くあります。
「いますすめられているご自身の脊椎手術,本当に必要でしょうか?」
と思う事があり、ドクターコラムに記します。

手術というものは、手術適応の有無を除外しはいけませんが,診療的には病院側と患者側の承諾・同意があれば、どんな状況でも手術は施行できます。法律的な制限もありません。
しかし、手術の適応が患者様の将来を左右すると言っても過言ではありませんので、その判断は慎重になる必要があります。

当センターでは、迅速的格な診断のもと、十分な保存治療(生活改善、お薬、ブロック、リハビリテーション、経過観察)を行い、適切なタイミングと術式で手術をするようにしております。
手足の麻痺や、堪え難い痛み、排尿障害など急を要する場合は、すぐに手術を提案することもあります。

私は、以下の適応を理由として、他の病院で手術をすすめられている患者様を多く拝見しています。手術の適応について十分ご理解いただきたいと思います。

<不必要な手術(→解説)>

  • 保存治療(お薬、ブロックなど)無く、疼痛が出現してすぐの手術は不要です。(→保存治療で疼痛が改善される場合が多くあります。十分な保存治療で改善しない場合に手術適応となります。)
  • 保存治療で十分改善する見込みのある場合、手術は不要です。(→当センターでは、保存治療で治癒する場合、手術は行ないません。)
  • 手足のしびれだけで、いずれ手足が使えなくなるからという説明での手術、予防的手術は不要です。(→しびれだけで手術の適応はありません。どんどん症状が悪化するとは限りません。)
  • 不必要なインプラント手術は要注意です。(→骨折や変形があっても痛みが無い場合が多くあります。インプラント手術で現在の腰痛や首の痛みが改善するかの評価が必須です。)
  • 画像上神経の圧迫が強いという、画像診断だけでの手術手術は不要です。(→画像で神経の圧迫が強くても、症状が発生しないかたが多くいらっしゃいます。画像所見だけで手術をするのは禁物です。)

平和病院・脊椎脊髄病センターでは多くの手術を施行しておりますが、外来患者数と手術数の割合(手術率)において、「手術になる患者様の割合が最も低い病院」として全国誌に報告されています。当センターは十分な保存治療にて改善することも目標としています。患者様に不必要な手術はいたしません。

手術をするべきか迷っている患者様、是非当センターへご相談下さい。
(文責 田村)