2017年3月29日放送 日本テレビ系列「ザ!世界仰天ニュース」の内容を詳しく解説

日本テレビ系列「ザ!世界仰天ニュース」

 

日本テレビ系「ザ!世界仰天ニュース」カイロプラクティック注意点の解説を行ないました。

34歳、トップモデルの突然の死、その原因はカイロプラクティックだった。

撮影の際、首を痛めたトップモデルはカイロプラクティックを受けた。受けても受けても首の痛みは改善せず、どんどん増悪した。頭痛や手のしびれも出現した。意識も薄くなっていった。
首の骨に沿って走る椎骨動脈は脳に血液を送る重要な血管である。トップモデルはカイロプラクティックでこの血管に損傷を負っていたと思われる。
三層構造になってる血管の壁に裂け目が生じて、そこに血液が流れ込む椎骨動脈解離。血流が悪くなり、血栓が出来て、それが脳で詰まり、脳梗塞をおこしていた。
すでに意識はない状態で、椎骨動脈解離は血管が破れるまでになっていた。損傷した動脈を修復する手術も行って脳への血流の回復が図られたが意識は戻らなかった。
回復の見込みはないとして家族は生命維持装置を外すことに同意。首の痛みを感じてからわずか10日、34歳の死だった。

カイロプラクティックとは1895年にアメリカで生まれたもの。投薬や手術はせずに、独自の手技をほどこす。
いわゆる「マッサージ」と似ているが、マッサージは皮膚表面に押す、揉む、叩くなどの刺激を加えることで、血液などの循環を改善、筋肉のコリをほぐすというもの。
一方カイロプラクティックは、脊椎や体の各部の歪みを矯正することで痛みの軽減や、自然治癒力の向上を目指すもの。
カイロプラクティックはそもそも、怪我などの治療ではなく、自分の体が持つ能力や機能をベストな状態に調整することである。その施術を受けてはいけないケースもあるのだ。
日本におけるカイロプラクティックは、現在のところ、あくまで民間療法という位置づけ。アメリカと違って国家資格ではない。
厚生労働省は、腫瘍性や出血性の疾患を持つ人や、症状を悪化させる頻度の高い椎間板ヘルニアなどの疾患については、カイロプラクティックの対象とすることは適当ではない、としている。
とりわけ首を急激に回転させたり、首を伸ばすなどの施術は危険が大きいため禁止する必要がある、としている。

【厚生労働省オフィシャルサイト】医業類似行為に対する取扱いについて

脊椎疾患が専門の平和病院・横浜脊椎脊髄病センター長、田村睦弘医師は 「カイロプラクティックに関わらずマッサージもそうですが、外から大きな力で首を伸展させたり、回旋させることは、非常に慎重に行うべきとお伝えしています。 今回のように施術をやることによって症状が改善しない、どんどん悪くなるといった時には、同じ施術を何度も繰り返すということでなく、一度医療機関に相談下さい。 何か悪い病気がないかということを診察の中や、画像検査を用いて診断する事が一番大切です。」 と注意を呼びかけた。

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【参考資料】
いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて(厚生労働省ホームページより)

近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らかでなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未然に防止するために必要な事項を指摘している。
こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。

(1)禁忌対象疾患の認識
カイロプラクティック療法の対象とすることが適当でない疾患としては、一般には腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされているが、このほか徒手調整の手技によって症状を悪化しうる頻度の高い疾患、例えば、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、カイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではないこと。

(2)一部の危険な手技の禁止
カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。

(3)適切な医療受療の遅延防止
長期間あるいは頻回のカイロプラクティック療法による施術によっても症状が増悪する場合はもとより、腰痛等の症状が軽減、消失しない場合には、滞在的に器質的疾患を有している可能性があるので、施術を中止して速やかに医療機関において精査を受けること。