ドクターコラム 脊椎内視鏡手術・技術認定医は狭き門

日本整形外科学会(以下日整会)認定脊椎内視鏡下手術・技術認定制度をご存知ですか?

「日整会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医」は整形外科専門医試験に合格して「整形外科専門医」の資格を取得した上で、さらに「日整会認定脊椎脊髄病医」としての資格を取得した後、「脊椎内視鏡下手術・技術認定医脊椎脊髄病医」の申請資格を得られます。
未編集の内視鏡手術ビデオの提出、内視鏡手術に関連した学会発表実績、従来の脊椎手術症例報告、内視鏡脊椎手術症例報告、技術を保証し得る医師の推薦状、モデル骨での内視鏡手術研修、生きた豚での内視鏡手術研修など多くの条件を満たし、厳正な審査の上認定される資格です。現在、技術認定医は全国に100名しかおらず、単純に計算しても1都道府県に2名ということになります。日本の認定医制度の中では最も難関な資格の1つです。

それではなぜ、脊椎内視鏡手術は難易度が高いのでしょうか?

それは背骨が筋肉、骨、靭帯、硬膜、神経、髄液、椎間板、血管といった固いもの、柔らかいもの、液体など多くのものから構成される特殊性があげられます。通常の背骨の手術が難しいわけですから、内視鏡手術はなおさらです。また内視鏡手術がよく行なわれる部位は、胸腔(胸腔鏡)、腹腔(腹腔鏡)、関節腔(関節鏡)、消化管(胃カメラ)といった比較的ゆとりのある袋状の空間(スペース)で行なう手術であるのに対して、背骨にはスペースが全くないため、少しずつ筒状の器具でスペースを広げ、作り出した筒状のスペースの中で手術を行なう特殊性があります。手術初期には合併症発生が多く、指導医や認定医も少ないため、内視鏡手術を習得する機会に恵まれず、内視鏡手術を断念する若い先生方も多くいるのが事実です。

内視鏡手術は傷が小さく、筋肉への負担も最小限に抑え、大きく明瞭な視野で神経根と椎間板ヘルニアの位置を確認しながらヘルニアを確実に切除する事が可能です。従来のLove法、経皮的椎間板ヘルニア切除術、レーザーを用いた椎間板凝固法などヘルニア手術は多々ありますが、内視鏡手術は理想的なヘルニア手術です。様々な椎間板ヘルニアの手術がある中、日整会技術認定内視鏡医による脊椎内視鏡手術は精度が高く、より安心な手術が提供できます。是非、お近くの脊椎内視鏡認定医を調べてみて下さい。