テレビ朝日系 スーパーJチャンネル 危ない自己診断/腰痛対策が逆効果に~化膿性脊椎炎~

2016年1月29日放送

化膿性脊椎炎は細菌が血行性に脊椎を感染させる病気です。免疫の低下している高齢者や糖尿病、肝機能障害、腹部手術の既往のある人に多く発症します。胸椎や腰椎は好発部位です。原因となる菌は黄色ブドウ球菌が多く、結核菌感染もありますが、結核性脊椎炎(脊椎カリエス)は化膿性脊椎炎と区別されています。

急性の場合は強い腰痛や高熱を伴いますが、慢性発症の場合は発熱も軽度で、軽い腰痛のみ認める場合も多くあります。自己診断で化膿性脊椎炎を認識することは困難なため、マッサージや電気治療などを受けると症状が悪化する場合がありますので、注意を要します。腰痛がなかなな改善されない場合は、単なる腰痛と考えず、地域の医療機関を受診して下さい。脊椎が変形したり、膿が脊柱管へたまり神経を圧迫すると麻痺を生じることがあります。全身に菌がまわり敗血症を発症すると命にかかわる危険もあります。

MRIやCTは診断上有用です。血液検査では炎症反応を評価します。確定診断には病巣や血液検査からの細菌培養が必須です。

治療は抗生剤投与や病巣部の掻爬(そうは)、難治性の場合は脊椎手術(脊椎前方掻爬固定術・骨移植術)が必要な場合もあります。多くの場合入院安静が必要で装具治療を併用します。糖尿病や全身疾患がある場合は、内科的治療の併用も重要です。治癒までには3ヶ月~半年の時間を要します。